米田優人
罪を認めないと身体拘束が長引く「人質司法」に対抗しようと、大阪弁護士会は今月から、勾留に不服を申し立てる弁護士の後押しを始めた。1件あたり最大4万円を支払う。弁護士会が、裁判所への不服申し立てに「報酬」を出し、弁護士を支援するのは珍しいという。
刑事訴訟法の定めでは、捜査機関は容疑者の身柄を拘束せずに捜査するのが原則だ。だが、実際には、検察官が「逃亡や証拠隠滅の恐れがある」ことなどを理由に裁判所に勾留を求め、認められるケースが多い。最高裁によると、2019年に全国の地裁・簡裁が検察の勾留請求を退けた割合は6・24%。勾留は、否認すると長引く傾向にある。
ただ、不服を申し立てても認められないと考え、申請をしない弁護士もいる。そこで、大阪弁護士会は今回、所属する弁護士が裁判所の勾留決定に準抗告(不服申し立て)をすれば1件につき1万円、さらに勾留が取り消されれば、「成功報酬」として3万円を支払うことを決定。年間1500万円を予算計上した。
愛知県弁護士会は19年、裁判員裁判の対象事件を除く刑事事件で最大3万円を支給したが、大阪弁護士会はすべての刑事事件を対象にした。大阪弁護士会刑事弁護委員長の清水伸賢(のぶかた)弁護士は「準抗告の件数が増えれば、裁判所が認めないケースが増えるかもしれない。必要性がない身体拘束を許さないため、弁護士の意識を変えたい」と話す。(米田優人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル